【第30回】エラー症例7 胸部圧迫感ケース
4)システム・状況要因×認知要因(山内素直)

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執筆:山内 素直(University of Maryland Capital Region Health)

当直非ST上昇型心筋梗塞(non ST-elevation myocardial infarction:NSTEMI)を見逃した2年目初期研修医Aは、前々回前回、その診断エラーを引き起こすことになったさまざまな要因を救急科指導医Bと振り返った。指摘された反省点を自分なりにしっかりと振り返り、再び救急外来での当直業務に励んでいたある日、病院の職員食堂でばったり指導医Bと出くわした。

 

■総括的振り返り❹―個人レベルのみでなく、「組織」としての「システム要因」への介入

指導医B この前は、つらい思いをしたと思うけど、A先生なりにしっかりと振り返りをして、また救急外来での当直も頑張っているって、みんなから聞いているよ。いつもありがとう。
研修医A いえいえ。いろいろとお気遣いいただいて、ありがとうございました。あの患者さんも無事に退院して、職場復帰できたと伺ったので、ほっとしているところです。
指導医B そうか、それはよかった。実は僕もあの後、また誰かが同じようなエラーを犯してしまうじゃないかと心配で、病院として、組織として、再発予防のために何かできないか考えてみたんだ。そこで、「システム要因」に介入してみたんだけど、何か変わったことに気づいた?

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