第50回 STP分析とペルソナ
―「誰のための業務改善?」と悩んだときの仕事術

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天野 雅之(南奈良総合医療センター総合診療科)


【状況】カンファレンス改革に向け,デザインシンキングを学んだ杏奈となぎさ。カンファレンスのユーザーとして漠然と研修医をイメージしたものの,そこからの進めかたに難渋していた。

 

杏奈)飛鳥先生! 観察の重要性は理解したのですが,研修医のために改善すると考えたとき,いろいろな研修医がいるから難しいなぁと思いました。

なぎさ)私も同じです。学年の差もありますし,発表する側と聞く側でも悩みが違います。全員を満足させるのは難しい気がします。

飛鳥)いい疑問だ。「ユーザーを一括りにしない」方法としてSTP分析を紹介しよう。

 

■サクッと解説!今週の仕事術 


STP分析とペルソナ設定 

飛鳥)STP分析は,“マーケティングの父”と呼ばれるKotlerが体系化した戦略立案の基本フレームワークだ1)。STP分析は各ステップの頭文字をとった用語で,次の3つのステップで構成される。

 

①セグメンテーション(Segmentation):ユーザーを意味のある切り口で分類する
②ターゲティング(Targeting):どのグループに注力するかを決める
③ポジショニング(Positioning):競合との違いを明確にし,ターゲットにとっての独自の価値を定義する

 

なぎさ)要するに「全員に届けようとしない」ことが出発点なのですね。

飛鳥)その通り。万人向けの改善策は,結局誰にも刺さらないことが多いんだ。もう1つ,STPと相性のよいツールにペルソナ(persona人物像)がある。ソフトウェアエンジニアのCooperが提唱した手法だ2)。具体的な複数の観察例を集めて共通項を抜き出し,架空の1人のペルソナとして具体的に描き出すことで,チーム全員が同じユーザー像を共有できるようにする方法だよ。

杏奈)ということは,STP分析とペルソナを使えば,前回のデザインシンキングで言うEmpathize(共感)とDefine(問題設定)を,もっと精密に実践できそうですね!

飛鳥)いい整理だ。では実際に使ってみよう。

 

■さっそく実演!


カンファレンス改革にSTPを当てはめる

飛鳥)まずセグメンテーション。カンファレンスの参加者を,いくつかの切り口で分けてみよう。

杏奈)学年で分けると,医学生,研修医1年目,研修医2年目,専攻医,指導医ですね。

なぎさ)役割で分けると,発表者と聞き手。参加姿勢で分けることもできそうです。積極的に発言したい人と,指名されるのが怖い人ではニーズが全く違います。

飛鳥)いいね。切り口は複数あっていい。次はターゲティング。改善のインパクトが最も大きい層を選びたいね。

なぎさ)最も苦手意識をもちやすいのは,「医学生および研修医1年目の聞き手」ではないでしょうか。

杏奈)それなら,先日実習に来てくれた医学生の平端くんをモデルにするのが最適かもしれません。

なぎさ)フィードバックも,平端くんが書いてくれたものでしたね。

飛鳥)いいね。ペルソナの効果は,具体的であればあるほど高まる2)

杏奈)あと,研修医1年目のセリナの意見も加えてみたいです。よく「それって,ネットで十分じゃん?」と言っています。

なぎさ)確かに,平端くんもネットで情報収集している感じでした。では,このような感じでペルソナを設定するのはどうでしょうか?

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